モノローグ
あの時僕は
愚かにもその言葉にしがみついていた
熱しやすく冷めやすい
だから君のことを忘れないよ
はやく魔法が解けるようにと
そのためなら僕はどんなことでもしたんだ
音楽室
遥「私ね、もう無理はしないようにしようって」
哲也「無理って?」
遥「うーん、例えば私は幸せを待ってるタイプだったと思うの」
哲也「うん」
遥「でも幸せを探しにいったり取りにいったりする人を見て、それがとても羨ましかったの」
哲也「なるほどそれで」
遥「だからやめたの自分に合わないことは」
哲也「ふーん」
遥「自分じゃないことしていくと全部がそうなっていつか違う人みたくなっちゃいそうで」
哲也「それは嫌なの?」
遥「だってそれじゃあ生まれてきてから今までの自分が可哀想だもん」
「でしょ?」
哲也「YES」
唯の部屋
唯「だめだよ早く書かなきゃ、きっと待ってる」
まなと「そうかなぁ」
唯「当たり前だよ黄色の便せんなんだよ」
まなと「なんか意味あるの?」
唯「きっと初恋なんだよレモン色の」
まなと「深読みだよ」
まなとと遥の電話
まなと「けど、いつまで続ければいいんだろ」
遥「告白するまでよ」
まなと「えっ」
遥「入江くんが唯ちゃんに気持ちを伝えるまで、そうなったら平瀬愛は消えるの
口の中で溶けるレモンシロップのように」
まなと「それで黄色なんだ」
モノローグ
誰かを想えば想うほど
人は滑稽になるものだろうか
あの時僕自身はと言えば
可笑しいほどに必死になっていたんだ
まるでちっぽけなその鈴を見つけることが
彼女を救う唯一のキーワードであるかのように
彼女を救う?
僕自身が救われるものとしても
このゲームをクリアすれば
幸せの鐘は鳴るはずだ
まなとの家
まなと「沢村じゃなくて平瀬になんだけど」
遥「うん」
まなと「好きなフレーズってなんなのかなって」
遥「あぁ、最後の『だから君のことを忘れないよ』って」
モノローグ
あの時僕は
胸の中で必死に鳴り響こうとする鐘の音を押さえていたんだ
それは僕が求めたものと
まるで正反対
だから君のことを忘れないよ
嫉妬が叫ぶ悲鳴のような
S.O.S.