第三話「嘘とジェラシー」

ショートケーキのいちごをいつ食べますか?って言われた時
多分の人は「その時による」っていうと思います
それは相手によって見せる表情が違うってこと?
この人には最初に、ある人には最後に
時としていつ食べるのかを見極めている。
でもきっと自分は最初にと憧れるタイプなんだろうなと‥


 
モノローグ
あの時僕は
一端のナイトを気取っていただろうか
傷ついたお姫さまを守ってあげる
だから君のことを忘れないよ
二人だけののこの道が永遠に続いていたらいいのに

 
学校の屋上
  遥「違うと思うな」
まなと「えっ」
  遥「そのうち自分の出番がくるって、だから今はそんな時に言っても意味がないって」
   「私でもきっとそう思う」
   「臆病だから、ずるいから、そーゆう自分が嫌じゃない?
    変わりなよ、私も変わるんだから」
まなと「捨ててくれるその手紙、僕が持ってても変だから」
  遥「告白する気になった?愛ちゃんじゃなくて唯ちゃんに」
   「入江くん?」
まなと「僕は僕だ!偽者にはもう戻りたくない」
  遥「偽者?」
 
まなとの手紙
突然こんな手紙を出してびっくりすると思います。
僕は君が転校する前に同じクラスだった入江まなとです。
といってもやっぱり憶えていないと思います。
僕はメガネをかけて地味な感じで
あまり友達とも話さないような、心にフィルターをかけて
いつか僕は偽者の僕にゆっくりと支配されてることに気付かなかったんだ
僕は寂しいとか悲しいとか嬉しいとかいう孤独な僕を隠したかったんだね。
でもそれが本当の僕なのに...
僕はきっと恋をしたこともなかったんだ
当たり前だねそいつは僕じゃなかったんだから
そう思った時、本当の僕はちょっぴり寂しくて、そしてなぜだか急に君の顔を思い出しました。
もちろん迷惑な話だろうけど僕は平瀬愛さん
君に恋をしたかったんだと。
 
哲也の家
真理子「ちゃかさないで」
 哲也「ちゃかす?違うよ、せいいっぱい腹が立ってるのを押さえてるの」
   「いい?貴方は肝心なことをすっかり忘れてるようだ」
真理子「肝心なこと?」
 哲也「僕の気持」
真理子「だからそれはさっき」
 哲也「彼女のことが嫌い?それとも好き?
    冗談じゃないよ僕は貴方をおもって病人のふりまでして二年も留年したイカれ野郎だよ」
   「自分の気持には誰がなんて言ったって正直なんだよ
    そんなに自信がないならなんべんだって繰り返してあげるよ
    僕に必要なのは世界で貴方だけなんだ」
   「例えば仮に貴方が僕のこと好きじゃないと言っても、これから好きじゃなくなくなったとしても
    他の男と目の前でセックスしたとしても...いやそれはちゃっと嫌だけど」
   「変わらない愛してる」
 
喫茶店
まなと「ショートケーキ」
 哲也「はっ?」
まなと「いちご好きですか?」
 哲也「んーそうでもない」
まなと「じゃあ好きだとして」
 哲也「はい」
まなと「ショートケーキの上に大好きないちごが一つだけのっています」
 哲也「はい」
まなと「あなたはどこから食べますか?」
 哲也「どこからって、いちご?」
まなと「どーして?好きなものは後に残す」
 哲也「好きだから最初」
 
公園
  唯「唯のこと嫌いになった?」
 哲也「だからさっきも言ったろ、好きでも嫌いでもない」
   「はじめから」
  唯「そうなんだ」
 
モノローグ
あの時僕は
唯の前に表れて
優しく抱きしめようと考えていた
それなのになぜか
凍りついたように一歩も足が動かなかったんだ
フィルターを外して僕は本当の自分を取り戻したのに
相変わらず僕は惨じめな人間だった
だから君のことを忘れないよ
君はこんな僕を容易く忘れたとしても


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